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2013/12/09 / masahif

ぼくらは、どの筋肉を使って踏むべきなのか?

先日、西薗選手と競輪選手と話をする機会がありました。

西薗選手はロードの選手はお尻主体で踏むけど、競輪選手は大腿四頭筋も使うと話していました。中々、難しい問題だなと思ったので、思ったところをまとめてみました。


バイシクルクラブのインタビューでは、主に腿を上げてくる筋肉について答えました。

“踏み主体のがいいのでは?”と答えつつも、実際に踏む側の筋肉については説明をしていないのはワケがあります。

現時点では、自分の中でも答えが”もやっ”としているからです。

自転車のペダリングの中で”踏む”といった場合は、ペダルを押し下げていく動作になります。

この”ペダルを押し下げる動作”を、どの筋肉を使って行なうのか?が難しいなと感じています。

例えば、腿を下げようと思えば、大殿筋かハムストリングが使えます。

また、自転車のクランクシステムは面白い構造をしていて、膝を伸ばしていくだけでもペダルは下がっていきますので大腿四頭筋を使うことも可能です。

 

ちょっと話を変えますが、筋肉は主な動作として収縮することにより骨と骨を近づけることが可能です。

しかし、重力や別の力などに引き伸ばされてしまうような状況もあります。

例えば、全力で曲げ続けている腕を誰かにひっぱって開いてもらった場合、筋肉自体は骨と骨を近づけようとしていますが、実際には遠ざかっていきます。この収縮をエキセントリック収縮といいます。

普通に腕が曲がっていくような状況であればコンセントリック収縮です。

ジムなどでトレーニングを行なう場合は、エキセントリック収縮を上手く活用しなさいと言われます。なぜかと言えば、そのほうが筋肉にかかる負荷が大きいために筋肉を大きくしやすいからです。

前述の腕でも構いませんが、膝を曲げようとしている脚を誰かにひっぱってもらうと、攣りそうなぐらい、ハムストリングスに大きな負荷を感じられると思います。

そう、エキセントリック収縮では簡単に攣ることが出来るぐらい筋肉にとって大きな負荷なのです。しかしながらエキセントリック収縮は”何らかの力”に対抗しているだけで外部に対して力を生み出していません。

なので、私はペダリング中に、このエキセントリック収縮な状態を少なくするほうが効率がよいのではと考えています。

 

さて、話が戻りまして、前述のハムストリングや大腿四頭筋です。

ハムストリングは大腿二頭筋、半膜様筋、半腱様筋から構成されています。大腿四頭筋は大腿直筋、外側広筋、内側広筋、中間広筋から構成されています。

これらは二関節筋と呼ばれる筋肉を含んでいます。二関節筋は二つの関節をまたいでつながっている筋肉です。

簡単に言えば、収縮するだけで同時に2つの関節を曲げることが出来る、お得な筋肉なのです。

ハムストリングは収縮することにより、膝を曲げ腿を下げることができます。大腿四頭筋は膝を伸ばし腿を上げることができます。

そう、気が付かれたでしょうか?どちらの筋肉もペダリングの動作に対しては反対の働きも持っているのです。

ペダリング中に、腿を下げようとハムストリングを使えば、同時に膝は曲がろうとします。この膝を無理やりに伸ばすのはエキセントリック収縮です。
膝を伸ばそうと大腿四頭筋を使えば、同時に腿は上がろうとします。この腿が上がろうとする動作がエキセントリック収縮です。

なんと、ペダリング動作に対しては大腿四頭筋もハムストリングもコンセントリック収縮でありエキセントリック収縮になってしまします。concentric/eccentricを組み合わせてeconcentric contractionなんて言い方をする場合もあるようです。

バイシクルクラブでは、腿をあげる筋肉として”腸骨筋”を提案させてもらいました。

腸骨筋は単関節筋で、股関節の屈曲(腿上げ)を行なう筋肉です。ペダリングの動作内で不自然な筋肉の収縮が起こりません。

同様に股関節の伸長(腿下げ)にも単関節筋である大殿筋を使うべきではないかと考えています。

よく長いレースなどではハムストリングや大腿四頭筋を攣ってしまう選手がいますが、筋力不足の可能性もあれば、自分自身の力で縮もうとする筋肉をむりやりに引き伸ばして負荷をかけている可能性もあります。単関節筋であれば、こういった問題を防ぎやすくなると考えているからです。

 

ということで、ペダリングの踏む動作で使うべきは大殿筋…と思うのですが、スプリンターや競輪選手の発達した大腿四頭筋を見る限り、なんとも言えないところです。

大腿四頭筋は大きな筋肉です。ある程度の柔軟性をもたせた上で膝関節の伸展(膝を伸ばす)のに使うほうが大きな力を発生出来ると思います。脚自体へのダメージがあったとしても大きなパワーを出すべき競技やシチュエーションでは仕方ないのかもしれません。

とは言っても、ロードレースの場合、筋肉への負担がかかる時間を考えれば、主体的に使うべきは大殿筋であるべきでしょうが、これを読んだみなさんはどう考えるでしょうか?

 

さて、この話に意見をいただく前に一つ確認をしていただきたいことがあります。

うつ伏せになった上で、脚を天井に向けて持ち上げようとしてみてください。

この時に、ハムストリングの収縮が最初に発生する方は大殿筋を使えていない可能性が高いです。長年の身体の使い方の経験から、どうやってもハムストリングが収縮してしまうのです。
こうなっていては根本的な問題として大殿筋が選択肢が上がって来ません。

もちろん、これは修正できます。パーソナルトレーナーのロビーオオハシさんは、それを「ソフトウェアの書き換え」と仰っていました。トレーナーの方を探して相談してみるのをオススメします。

ご意見はTwitter(@masahif)までお願いします。

※久々にホッテントリメーカーでタイトルを生成しました。他意はありません。

フィッティングやってます。ソフトウェアの書き換えも可。
→  https://masahif.wordpress.com/fitting/

 

 

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  1. 正しいペダリングなどあるのか? | masahif Test Team

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